囂kamabisuan庵

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9月4日

今日も子規の句

今年は記録的に暑かったので・・

あつさ という文字ことばが入り、季語が暑の句 74句。 そのうちなんと56句が 明治26年!
はて? これは?

明治18
氷売る声聞きて家のあつさ哉

明治19
あつさをは忘るゝ忘れ草すゞし

明治20
草刈の木陰にはいるあつさ哉

明治21
石の牛の木陰にあへくあつさ哉
石の牛もあへきそふなるあつさ哉

明治24
あつさをはさきひろけゝりさるすへり
寝かへれば汗のひつゝくあつさ哉
明治25
息くさき人の近よるあつさ哉
牛の尾の力も弱るあつさ哉
薄くらき奥に米つくあつさ哉
此頃は昼寝も出来ぬあつさ哉
囚人の鎖ひきずるあつさ哉
姫杉の真赤に枯れしあつさ哉

明治26
油画の彩色多きあつさ哉
海士が家に干魚の臭ふあつさ哉
雨雲の峯になり行くあつさ哉
海士は皆海へいでたるあつさ哉
雨折々あつさをなぶる山家哉

あら壁に西日のほてるあつさかな
息きつて発句もできぬあつさ哉
石原に片足つゝのあつさ哉
入相を今か今かとあつさ哉
動かれぬ遊女の罪のあつさ哉

牛喘ぐ大臣の門のあつさ哉
薄曇り木陰も同じあつさ哉
上野から見下す町のあつさ哉
馬車店先ふさぐあつさ哉
掛茶屋のほこりに座るあつさ哉

行列の町に入りこむあつさ哉
車屋が語るまことのあつさ哉
観音に人波のうつあつさ哉
けふをこそ限りなるべきあつさ哉
此のあたり土蔵の多きあつさ哉

上客に内処見らるゝあつさ哉
出立の飯いそぎたるあつさ哉
順礼の馬子拝みたるあつさ哉
新道は人も通らぬあつさ哉
船頭の山に上りしあつさかな

旅立の事ばかりいふあつさ哉
旅立をのべて都のあつさ哉
手荷物にふんどしさがるあつさ哉
手をつける天水桶のあつさ哉
庭石を草のうめたるあつさ哉

ぬり直す仁王の色のあつさ哉
のら犬の流しに寝たるあつさ哉
裸身の壁にひつゝくあつさ哉
花嫁は帯のくづるゝあつさ哉
日照草けふをさかりのあつさ哉

昼顔の花に皺見るあつさ哉
昼顔はしぼむ間もなきあつさ哉
昼時に酒しひらるゝあつさ哉
榾になる木にも蝉なくあつさ哉
炎ふくふいごの風のあつさ哉

松陰はどこも銭出すあつさかな
松島の事はかりいふあつさ哉
真白に石灰やきのあつさ哉
真昼時弁当部屋のあつさ哉
道々に瓜の皮ちるあつさ哉

紫のさむる茄子のあつさ哉
門番のひとり寝かねるあつさ哉
洋犬の耳を垂れたるあつさ哉
やせ馬の尻ならべたるあつさ哉
宿引きに袂のかるゝあつさ哉

屋根葺の日陰へまはるあつさ哉
やるせなき夕立前のあつさ哉
破れ尽す鶯籠のあつさ哉
行先の原渺々とあつさ哉
夕まくれ馬叱る町のあつさ哉

我宿は女ばかりのあつさ哉

明治28
雨なくえ閏五月のあつさかな
雨ほろほろあとのあつさよ砂河原
漆かく裸男のあつさ哉
井戸堀の浮世へ出たるあつさ哉
男許り中に女のあつさかな

・・・

そして、近況です。

9月13日

兄が毎年送ってくれる歳時記カレンダーが今年も届いた。

これも毎年のことだが、お礼状は判じ絵もどきの葉書。

てなことで、

今日も子規の句は

はがき という文字ことばが入る句 1句
伊勢人のはがきに刷りし初日哉 明治33

日本でのはがきの第一号は明治六年だそうだ。
一句しかなかったので、

手紙は

手紙 という文字ことばが入る句 11句
手紙もつ人はたちまちかすみ哉 明治24
Mの字の手紙に多き師走哉 明治25
初桜木曽の手紙に雪がふる 明治26
天竺の手紙届きし熱さ哉 明治26
蝦夷にある子に手紙書く夜寒哉 明治30
讀み盡きて手紙こほるゝ紅葉哉 明治30
黒わくの手紙受け取る冬籠 明治30
蒲団著て手紙書く也春の風邪 明治32
止みになる觀月會の手紙哉 明治32
花の手紙見て頼襄へ廻しけり 明治33
蜜柑燒くや太祇の手紙よみながら 明治33

郵便は

郵便 という文字ことばが入る句 5句
春風や郵便車肥車 明治27
古辻に郵便箱の寒さかな 明治27
冬枯や郵便箱のなき小村 明治30
冬枯や郵便箱もなき小村 明治30
村閑に郵便も来ぬ燕かな 明治34

レスあり

Kさん: Mの字の。。。とは?

おいら:何なんでしょうね。
ma mi mu me moで、 明治十五年ころから華族の間から始まったという、喪中葉書のMでしょうか。
この頃には喪中葉書の風習が庶民の間にも広がって、子規さんのとこにも年末になると、それとなくMを知らせる内容の手紙がやって来るようになったってことでしょうかね?

まあ、生きていることをわざわざ「それとなく」知らせているおいらのFBとは逆の話でしょうか。

9月22日

インターネットにMacが接続できなくなった。

理由の根本は、OSを最新セコイアにしたためだ。

しかし、
普通のMacオーナーさんだったらどうってことないアップロードだが、おいらの場合、ウイルス対策ソフトにESETを使っていたので、それが外部からの攻撃と判断し、通信機能をシャットアウトしたからのようだ。

タブレットでネット検索し、その事がわかり、対策を知るまでおいらは大いに焦った。

結局、ESETをアンインストールし、OS15を再インストールし、ESETの古いバージョンを仮にインストールし、とりあえず回復となった。

それにつけても、もう40年以上のお付き合いのインターネットさまに突然そっぽを向かれ、異常なほどに心細い気がし、意味なく焦ってしまった。

ああ!毒されてしまっている。

さてさて、さて

と、いうことで、

今日も子規の句

止 という文字ことばが入る句は 14句

経止めて僧のさとりぬ火取虫 明治21
あら笑止又白魚を買ひはづす 明治25
あら笑止やまた白魚を買ひはづす 明治25年
あら笑止や又年の暮れかゝりて候 明治26
あら笑止や又雪のふりかゝり舟 明治26
吹きたまる落葉や町の行き止まり 明治27
水飯や目まひ止みたる四ツ下り 明治29
ちらちらと雪になりしか又止みぬ 明治30
御停止や鳥啼いて晝の鐘こほる 明治30
新聞は停止せられぬ冬籠 明治30
御停止を猿引と猿と鳴きにけり 明治30
初雷の二つばかりで止みにけり 明治32
止みになる觀月會の手紙哉 明治32
いな子燒く香やこほろきの鳴止ぬ 明治33

9月27日

オイラが暮らす街の、公園とJRの線路に挟まれた遊歩道のカラマツの幹を、スルスルと登っていく一匹のリスをみた。

カメラで近づいてみると、目の周りや毛並みの色から、若い!?ニホンリスのようだ。

センセイは、別段人を恐れることもなく、平然とオイラを見下している。

精一杯オイラを警戒しているのだろうが、全くそうとは見えぬ。

目線がバッチし合う。

木の枝でポーズをとってくださったお姿を数枚撮らせていただき、オイラは退散した。

ということで、

きょうも子規の句

木の枝 という文字ことばが入る 6句

木の枝に頭陀かけてそこに昼寝哉 明治20
木の枝を傳ふてはやし出る月 明治22
木の枝に荷物ハかけて昼寝哉 明治23
山門や木の枝垂れて五月雨 明治27
山里や枯木の枝の初烏 明治28
水鉢や木の枝垂れて雨蛙 明治31

子規さんの詠んだ句には、りすとか栗鼠の句はありません。

囂kamabisuan庵