囂kamabisuan庵

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6月11日

野中の日影

蝶の飛ぶばかり野中の日影哉 芭蕉
(ちょうのとぶ ばかりのなかの ひかげかな)

貞亨二年三月四月。「野ざらし紀行」で鳴海付近にて。だと。

今年、5月の全国史上最高気温、いわば日本新記録がなんと、北海道のオホーツク沿岸の街、佐呂間町で出た。

39.5度だ!

芭蕉さんの蝶々の句もそんな、初夏にしては暑すぎる日の句だったのではと思う。

さて、先日Yosakoiそーらんを見に出かけた。

市内中いたるところに踊りの会場があって、街中はごちゃごちゃしていて、楽しくうれしかった。

とても、太陽がきつい日だった。

片陰や踊り子たちの出番待ち 半可ξ
(かたがげや おどりこたちの でばんまち)


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6月21日

元禄元年戊辰六月五日

発句 鼓子花の短夜眠る昼間哉 芭蕉
   (ひるがおの みじかよねむる ひるまかな)
脇  せめて涼しき蔦の青壁 奇香
   (せめてすずしき つたのあおかべ)

大津奇香亭で開催した十吟歌仙の発句。

オイラも、この家に来てヒルガオのようにのんびりとした時間を過ごさせてもらっていますと奇香亭の主への挨拶吟。だと。

芭蕉さん、夏至のころ旧暦の五月末から大津に滞在していた。ちなみに元禄元年戊辰六月五日は、1688年7月2日。

さて、明日6月22日は夏至。
まさに短夜である。

さてさて、
野や森には雑草の花がいっぱい咲いていて、森林ウオークにはとても気分の良い季節なのだが、いま、余が好きな公園に立ち入ることは危険だ。

いま近くの野幌森林公園に78年ぶりに一頭のヒグマが南の山間部から迷い込み、もう、2週間近くとなる。

出没地図

侵入者くんは広大な自然公園の夏の盛りを独り占めして楽しんでいる。

しかも彼は朝日が昇り、人々の暮らしが始まっても、すぐにねぐらに戻ろうとしていない。

まあ、もともと我らが住むこの大地は、狡賢い人類が全てを独占すべき場所ではなく、生有る全ての動植物が、互いに譲歩し合って暮らすべき場所である。

別に、人畜に直接危害を与えるでもなく、行政も世論も、いまのところは、ひたすらご退場を願うのみのようである。

いいじやん。いいじゃん。

令和元年6月22日

短夜を恨み彷徨ふ羆哉 半可ξ
(みじかよを うらみさまよふ ひぐまかな)


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6月24日

夏木立佩くや深山の腰ふさげ 芭蕉
(なつこだち はくやみやまの こしふさげ)

寛文十二年、29歳。
伊賀国上野住松尾宗房としての投句

深山も、夏になると、小太刀を腰の周りに佩くように、夏木立をふもとの周りに飾り付けているぜ。だと。

夏木立←→小太刀

言葉遊びの典型的な談林風の句だ。

さて、

今の時期、道ばたや空き地にわっと群れて咲く、野菊のような白い花の一群がある。

余は、この花たちが夏の木立や街角に群れて咲く光景が大好き。

その一群のひとつは、ハルジオン。
もうひとつの一群は、フランス菊。オックス・アイ・デイジー。

これらは外来種。

なので、なかでもフランス菊は、北海道では、生態系保護のために、自然界へ放つことなどを禁じる「指定外来種」の第1次候補だそうだ。

自然保護ってそればっかりが目立つとかえって自然の秩序の破壊のような気がするよ。

文化文明だって自然に外部刺激によって変化変容してゆくものざんしょ。

とにかく肝心なのは、極端でなく時々の許容・対応のバランスをもった措置なんだよね。

外来種フランス菊の目に怒り 半可ξ
(がいらいしゅ ふらんすぎくの めにいかり)


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6月25日

(前略)此の人なん、妻を具しむすめを持たりければ、草庵のかはれるやうをかしくて、

草の戸も住替る代ぞひなの家 芭蕉
(くさのとも すみかわるよぞ ひなのいえ)

いよいよ奥の細道の旅に出ることになり、本所の芭蕉庵を人に譲った。美濃のお弟子の落梧へ、その経緯を書簡で伝え、そこに添えた発句である。

この庵の住人も、坊さんみたいなクソジジイから、ちゃんと女の子がいるまともな一般家庭に代わるなんぞ、乙ですなっうとこでしょう。

さて、

代わるといえば、7年間乗っていた自転車の寿命がついに尽きた。

7年乗ったドッペル君はチェーンが伸びきり、上り坂でぶっちぎれた。

あさひ自転車の店員さん曰く、修理整備ちゃんとするとちゃんとした新車が買えるお値段以上です。 で、 アマゾンで一番安い自転車に先週から乗り換えた。

安くても、とりあえず走っている。
坂もちゃんと昇れる。

自転車もネットで買う代ぞ夏野原 半可ξ
(じてんしゃも ねっとでかうよぞ なつのはら)


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6月26日

萩原や一よはやどせ山のいぬ 芭蕉
(はぎはらや ひとよはやどせ やまのいぬ)

貞享四年八月に鹿島神宮を参詣し、その折りの吟。

万葉集の時代から、萩は、ズバリ女性器の象徴で、男女間の意味深な歌が数多く詠まれてきた。

『万葉集』巻十 2117 詠花  作者不明

 をとめらに 行き逢ひの早稲を 刈る時に
 なりにけらしも 萩の花咲く

だから、芭蕉さんの句も

見事に咲いた萩がいっぱいだ。さあさっ、山の犬すなわち狼みたいな野郎たちにも、一夜の床を提供してやっておくれな。

お宮参りのあとのドンチャン騒ぎ!!っうとこですかな。
芭蕉さんもけっこう好き者なんですね。

さて、

札幌は狼ならぬ熊ちゃんが78年振りに山里離れた原始林の森林公園に迷い込んでもう3週間もなる。

人や他の動物たちに悪さをしないので、公園の管理者も、捕獲したり追い出しをしたりはしない。

入園者には立ち入りを禁止してはいない。
控えて下さいとある。
ただ、入りたい人は、注意して散策して下さい旨の注意書きがあるだけ。

昨日、公園の片隅を自転車で走ってみた。

いつもなら森林浴の人々に100メートルごとに遭遇するのだが、さすがにきょうびは一人も歩いてはいなかった。

余のチャリンコもこころなしかスピードが出ていたようだ。

原始林や一夏宿貸せ山の熊 半可ξ
(げんしりんや ひとなつやどかせ やまのくま)


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6月28日

衰ひや歯に喰ひ当てし海苔の砂 芭蕉
(おとろいや はにくいあてし のりのすな)

元禄四年、5度目の年男の歳。

もう一回で還暦だから、今時分で言えば、働き盛りの壮年っうとこだけど、なにせあの時代だもんね。

それにしても、芭蕉さん歯茎がだいぶ行ってますね。

さて、

余は7度目の年男は済ませたが、すこしづつ各所の経年劣化は否めない。

とくに脳みそがだいぶ痛んできたみたいだ。

本日、近所のショッピングモールでほべつメロンをお中元に送り出し、お昼にと、魚屋直営レストラン。

当店お勧めという「おまかせ海鮮丼」を頂こうと、ワサビを全部醤油に溶いて、チャピチャピしどばー。

食しはじめしひと箸め、ツーウウウン!!!

年取ると、日常の所作にも想像力の油が切れる。

ツーウウウン!!!は、その後度々襲ってきたが、丼種の旨さが勝り、結果何事もなかった様な気分で、食後のお茶を啜ることが出来た。

まあ、いいか。

アリルイソチオシアネート目に喰い当てし海鮮丼 半可ξ
(アリルイソチオシアネート めにくいあてし かいせんどん)

アリルイソチオシアネートは、山葵の辛み成分。


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