囂kamabisuan庵

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2月2日

李下が妻の悼み

被き伏す蒲団や寒き夜やすごき 芭蕉
(かずきふす ふとんやさむき よやすごき)

元禄元年冬。

芭蕉庵に芭蕉を贈った門人李下の妻への追善句。

このとき去来も、

寝られずやかたへ冷えゆく北おろし 去来
(ねられずや かたへひえゆく きたおろし)

と詠んでいる。

さて、
こちとらは冬将軍のせいでの「寒き夜」だったが、
4日月曜は立春。

道理で、

搔き寄せる蒲団やすごき余の寝相 半可ξ
(かきよせる ふとんやすごき よのねぞう)

たぶん春が来たのを老いぼれの本能は察知しているのだろう。

よいことじゃ。

春だ春だ。


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2月3日

月花の愚に針立てん寒の入り 芭蕉
(つきはなの ぐにはりたてん かんのいり)

元禄五年冬。

調子こいて月だ花だと能天気に騒いでいる輩の愚かさに怒り心頭だ。

極寒の寒さの中に放置されている現実の沖縄を見よ。

と、現在の日本を予見し警鐘を鳴らす名句である。

ほんと!

我々は防衛の負担を、
沖縄一県に押し被せ、安穏と暮らしてはいないか。

防衛は国家の大事なればこそ、
その苦を分かち合うことが求められるのではないか。

74年も否それ以前から、
南国琉球はわが国の政治から極寒の扱いを受けてきた。

やりすぎだ本州。

苦はちゃんと分かちあおう。

政策の愚に針立てん春来る 半可ξ
(せいさくの ぐにはりたてん はるきたる)

今日は節分。明日は立春。


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2月4日

発句なり松尾桃青宿の春 桃青(芭蕉)
(ほっくなり まつおとうせい やどのはる)

延宝七年三十六歳の春。

古来より立春は万物再生の祝い。

俳諧の宗匠としてまさにおいらの今は人生の「発句」の時であるとのたまわっておるそうな。

さてさて、本日立春。

明日は新月。旧暦元旦。

年あらたまり、新しい月が始まる。

かくある当方、
再生のエナジー乏しき老いぼれゆえ、
あたらしき年も、しょぼそうだ。

かくなるうえは、
しょぼくれの、
しょぼくれ見本を、
いざ残さんと、
書初に、
遺影でも描いてみようかな。

挙げ句なり囂庵爺の宿の春 半可ξ

(あげくなり ごうあんじじの やどのはる)

さて、いつできるかな。


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2月6日

雲を根に富士は杉形の茂りかな 芭蕉
(くもをねに ふじはすぎなりの しげりかな)

延宝四年。

富士山は高い山だから、峯に雲じゃなく、その雲の上にどーんとそびえておるわいな。

そばで見たことない御仁にはわからんだろうが、富士山をそばで見ると、杉の木巨木を根元から見上げるように、反っくり返って見なけりゃならんぞ!ちょいな!ちょいな!

っうジョーク含みの句でござんす。

さて、戦後まもなく始まった札幌雪祭りは今年70回。

メーンの大型雪像は自衛隊の冬期雪中訓練でこんなに立派にできました。

まさに平和が築き上げたお祭りです。
まことにけっこうなことでございます。

見物の半分以上はアジア近圏の外国人。
おおいに北海道の冬冷えの経済を助けてくれています。

ちょっとうるさいけど、ありがたいことです。

シェイシェイ!

人頭を根に雪像の繁りかな 半可ξ
(じんとうを ねにせつぞうの しげりかな)


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国際雪像コンクールの雪像は、週末審査のため制作中。 ディフェンデンスチャンピオンのタイ国選手達も必死。


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2月8日

鶯や竹の子薮に老を鳴く 芭蕉
(うぐいすや たけのこやぶに おいをなく)

元禄七年五月。

松竹梅で言えばランクアップだと喜んでるのではないよ。

老いぼれはモタモタしちまって、肝心なときに間に合わず、今頃になって、竹藪で鳴いてるぜかもしれないし、

老い先長くなくなると、未練たらしく今になっても、まだ鳴いてるよかもしれない。

いやいや、時を経るといい音だね。さすがベテラン!よっ大統領!かもしれない。

どっちにしても、芭蕉自分自身の老にたいする心の句だすな。

さて、
遺影用に自画像を描いてやろう計画だが、
どうやっても、
貧相なジジイの姿しか
浮き出てこない。

そもそも、
素材が貧弱だから
こんなもんか

納得するとする。

書初や閑な1日老を描く 半可ξ
(かきぞめや ひまないちにち おいをかく)


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2019/02/10

2月10日

憂き人の旅にも習へ木曽の蝿 芭蕉
(うきひとの たびにもならえ きそのはえ)

元禄六年五月六日。旅立つ許六に贈った餞別の句だと。

おいおい、馬糞にたかって五月蝿い木曽の蝿よ。

辛い旅をしているお人達の気持ちも、
ちょっとは考えてやってくれよ。

とか。

さて、さて、雪祭りもそろそろフィナーレ。

 しんとして 幅広き街の 秋の夜の
 玉蜀黍の 焼くるにほひよ

大通り公園の啄木さんもホッとすることでしょう。

目の前にあるスノボーのジャンプ台のせいで、陽が当たらず寒いんです。

ぽつねんと啄木像の旧正月 半可ξ
(ぽつねんと たくぼくぞうの きゅうしょうがつ)


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2月11日

天秤や京江戸かけて千代の春 芭蕉
(てんびんや きょうえどかけて ちよのはる)

京の春と江戸の春を天秤にかけて比べて見ても、どっちも結構けだらけさぁ。

よきご時世っうことでんな。

ちょうど三年前に市川団十郎が江戸に開いた歌舞伎が順調に盛り上がるなど、市民の力が台頭し始め、俳諧をふくめた東西の文化交流が益々盛んになってきたころだわさ。

この句は、
「もはや戦後ではない」の江戸時代版っうことだすな。

ちょうど、幕府開闢から74年目なんです。

この数年後が高度成長期たる元禄バブル時代というわけだ。

さてさて、
本日は建国記念日っうことで、
余は日本書紀の冒頭を漢文のお稽古で写して見た。

でもさ、
われらが今のご時世は・・・・

で、

平成は混沌の世へ凍返る 半可ξ
(へいせいは こんとんのよへ いてかえる)


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2月17日

煮麺の下焚き立つる夜寒哉 芭蕉
(にうめんの したたきたつる よざむかな)

元禄四年晩秋。だと。

膳所の菅沼曲水亭にて、「夜寒」という題で句会が催された。んだと。

にゅうめんはソーメンを茹でて醤油味の汁に盛ったものだと。

さてさて、
当地、麺と言えば先ずラーメンだわさ。

先日街で「はるゆたか100%」を見かけたので即ゲット。

で、本日家人が出かけたので、これ幸いに「粉遊び」。

思ったほど、粉は散らからず、
いとも簡単にさっさっさと粉も練れて、よござんした。

1時間半生地を休ませて、のし棒で伸す。
打ち粉は片栗粉。

さっさっさと伸し伸しして、パパパとカット。

この一連で、多少粉が散ったが、問題なし。

麺を揉み揉みして完成。


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半分は後日のために冷凍す。
麺は打ち立てより二三日熟成させた方が良いらしい。

次に、ありあわせの顆粒のスープの素で醤油味あっさりラーメンスープ製作に入る。

あらかじめ粉打ち作業の前に、ホタテ貝柱をもどしておいたから、そこにいろいろ加えて行けばよい。


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とても上品なスープが出来たので、麺を茹でる。

時間はとりあえず2分。
少し茹ですぎだったかも知れない。

器に盛って実食。

もうちょっと、
腰があればなという気持ちは別として、
麺はいけます。
うまい。

ねらいと言えスープがあっさりしすぎてしまったけど、 うまかったです。

ギトギトラーメンを食した後の、 あの罪悪感はなかったから、まあいいでしょう。

ネクストタイムにいろいろアイディアがもてて、 これはこれでとても面白い「粉遊び」だった。

ラーメンの下焚き立つるはるゆたか 半可ξ
(らーめんの したたきたつる はるゆたか)


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2月20日

元禄二年霜月朔日、於良品亭

いざ子供走りありかん玉霰 芭蕉
(いざこども はしりありかん たまあられ)

良品(りょうぼん)は伊賀上野藩の中間管理職で門弟の友田角左衛門。

この句のこどもとは、若手門弟たちのことで、さあさ皆さん、のびのび無邪気に自由闊達に句会をいたしましょう、ということ。

さてさてさて、

道立図書館脇で、何かが「走る」気配を感じて見やれば、エゾリスくんが食堂に向かうところだった。

数メートルしか離れてはいなかったが、木の穴ぼこから団栗を取り出して、カリカリカリカリと音をたてて囓っていた。

蝦夷のリス走りありかん車だせ 半可ξ
(えぞのりす はしりありかん くるまだせ)

車出せとか車組むは春の季語。

北国では雪が解けたら、橇から荷車に代わるわけで、現代ならスタッドレスタイヤから夏タイヤに、みたいなもんです。

エゾリスくんも、原っぱでも森でも好きなところを走りまくれる季節が待ち遠しいようでした。


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囂kamabisuan庵