囂kamabisuan庵

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3月1日

木曾塚の旧草にありて敲戸の人々に対す

草の戸を知れや穂蓼に唐辛子 芭蕉
(くさのとを しれやほだてに とうがらし)

元禄三年秋近江膳所の木曽塚の旧草(義仲寺近く無名庵)にての挨拶句。と。

蓼花や赤く色づいた唐辛子が、この草庵の精精のおもてなしです。こんな鄙びた処にも、華々しいお方達が集まって下さる。うれしいことでございます。

さて、さて、驚いたことに、もう三月。

だいぶ暖かくなったので、行列の人気店での外待ちも楽。

今日は、中だけど、ホクレンビル地下の超人気スープカレーの奥芝商店に行ってきた。


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12時半。先客六人が並んでいた。

ここは、外で並んでいる内にオーダーを決めるシステムで、


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余は、
スープは エビ
カレーは チキン野菜
サービストッピングは オクラ
辛さは 4の中辛
ご飯は 白米
量は 中盛り レモン添え
飲み物は結構です。

最後に、お店の人が
紙エプロンは必要ですか?

いえ、結構です。

こんな注文儀式が、客一人一人順々に行われる。

イライラするタイプのお人にはお勧めできないが、これが、いっも満員。今日は、店外と店内で合計30分は待つた。

ホクレンの地下にありて敲戸の人々に対す

奥芝を知れやチキンに唐辛子 半可ξ
(おくしばを しれやチキンに とうがらし)


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3月7日

煩へば餅をも喰はず桃の花 芭蕉
(わずらえば もちをもくわず もものはな)

貞亨三年。桃の節句。芭蕉には胃病があった。だと。

さて、我が輩、今月は桜餅を三つ食した。

考えて見れば、近頃はだいぶ「甘党政権」に懐柔されつつある。

よって、しっかり運動をせねばならぬと自分に言い聞かせる。

ゆえに、閑なジジイは、移動は2㎞位までは徒歩と決めている。

しかし、これで困るのは、汗をかくことだ。

すなわち主目的のカロリー消費が、逆に困るのことよ。

まだまだ、外気温は一桁で、発汗はかなり危険なのだ。

したがって、徒歩はダラダラ。

さすがにどうなんだ?と疑問をかかえつつダラダラ。

さてさて、

老来れば餅ばかり喰ひ桃の花 半可ξ
(おいくれば もちばかりくい もものはな)

ところで、桃つながりで、

「恋文を書く少女」なんてキャプションが時々ついている写真だが、実は、桃太郎の作者なんですよ!


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3月8日

蒼海の浪酒臭し今日の月 芭蕉
(そうかいの なみさけくさし  きょうのつき)

延宝七年八月十五夜、芭蕉36歳の作。と。

もっぱら、月が出た海を、盃に喩えてみただけの冗句と評は馨しくはない。

芭蕉さんの酒臭い浪のリズムは、なんか単調でかったるくもあるちゃぽちゃぽざざざーなんでしょうかね。

月もきっとぼんやりと退廃的な色なんでしょうかね。

しかも蒼海と言う言葉が、情景に全くマッチしない不思議。

いやいやこれは、安物の青の盃に酒を並々注いで、十五夜の月を写し込み、心身ともに、この名月を楽しんでいるっう芭蕉さんの「あそび小世界」を表した句だと、余は思う。

何れにしても、たいした句では無いが、芭蕉さんの酒好き度合いがよーわかる句であることは間違いない。

さて、今日のテーマは浪。

芭蕉さんのちゃぽちゃぽざざざーに対して、
葛飾北斎の浪は凄い。

天保年間の富嶽三十六景神奈川沖浪裏のスーパハイスピード画像表現は、将に時を切り裂く一瞬の緊張だ。

これを見ると不思議なことに音はない。

フェノロサが薬師寺の東塔を凍れる音楽と絶賛したのと同様、神奈川沖浪裏の図も凍れる音楽だと余は思う。

神奈川沖浪裏を見ながら、芭蕉の句を読むと、酷い船酔い阿鼻叫喚の地獄世界を感じてしまう。

蒼海の浪酒臭し今日の月 芭蕉
(そうかいの なみさけくさし  きょうのつき)

うふふふ。


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3月9日

風流亭
水の奥氷室尋ぬる柳哉 芭蕉
(みずのおく ひむろたずぬる やなぎかな)

元禄二年六月一日。『奥の細道』旅中、大石田から羽黒山に行く途中、新庄の富商澁谷甚兵衛宅にて。と。

暑い盛りの小川の水も、あの羽黒山の氷室から涼を運んでくれとるわい。

おかげで川辺の柳だけじゃなく、オイラもしゃっきりしますわいな。

灼熱地獄で「冷たく」もたらされても、だあれも文句は言いません。

さてさて、

冬の厄介者の雪も、TOKYO2020でヒーローとなるか?

ただただ焼け石に雪・・夢のまた夢で終わるのか?

老婆心亭
打ち水の濡るる間も無きアスファルト 半可ξ
(うちみずの ぬるるまもなき あすふぁると)

でもね、打ち水効果くらいは期待致しましょう。


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3月12日

語られぬ湯殿にぬらす袂かな 芭蕉
(かたられぬ ゆどのにぬらす たもとかな)

奥の細道旅中。

出羽三山登山後、南谷滞在中、羽黒山別当会覚(えかく)の訪問に謝して揮毫した短冊のうちのひとつ。

湯殿山の詳細については、芭蕉曰く、「総じてこの山中の微細、行者の法式として他言することを禁ず。よって筆をとどめてしるさず」と。

「語ることなかれ、聞くなかれ」ということだ。

で、「語られぬ」である。

よって、余も語らない。

さてさて、

昨日は久しぶりに3㎞先の日帰り温泉まで徒歩で行ってきた。

天然モール温泉入浴料と昼めしセットで1250円は魅力だ。

積雪も2・30センチと、いよいよ晩春の体。

枯木の森に四十雀が飛び回っていた。

が、手持ちのデジカメではまるで点。

森の湯や老人の目に鳥の恋 半可ξ
(もりのゆや ろうじんのめに とりのこい)

四十雀は秋の季語。
でも当地では、今頃、非常に目につく野鳥だ。


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3月16日

七草

蛤に今日は売り勝つ若菜かな 芭蕉
(はまぐりに きょうはうりかつ わかなかな)

元禄六年一月七日

蛤 vs. 若菜 勝者 若菜。

で、数日後の嵐雪との両吟歌仙の発句で、

蒟蒻に今日は売り勝つ若菜哉 芭蕉
(こんにゃくに きょうはうりかつ わかなかな)

と改案したんだと。

蒟蒻 vs. 若菜 勝者 若菜。

蒟蒻は、芭蕉先生の大好物だったそうだ。

さてさて、

何かピンと来ない企画だが、昨日の新聞記事。

AI vs. 人間の俳句比べだと。

実のところ、どれが人間の作か、どれがAIの作か、全くわからんかった。

句の善し悪しを「人間が」判定するのも、ちょっと、AIには失礼だと思うが、まあいいか。

AIに今日は詠み勝つ春句会 半可ξ
(えいあいに きょうはよみかつ はるくかい)


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3月27日

きてもみよ甚平が羽織花衣 芭蕉
(きてもみよ じんべいがはおり  はなごろも)

寛文十二年、29歳の伊賀上野時代の作。と。

「花衣」は花見に着ていく着物のこと。だと。

東京は今サクラ満開と聞く。

余が棲む処はこのところ朝起きてみると雪華が満開だ。

それでも毎朝の白装束は昼には解け積雪とはならない。

甚平を甚平が羽織り「着て」、お花見に「来て」みるような陽気までは、あと、ひと月はかかる。

さてさて、

先日東京の人気トンカツ店「とんかつ檍」が、当地にopenした。

さっそく行列してありついた。

お試しに、ランチの1200円の定食にした。

うっすらと桜色のお肉に、これまたさっくりしっとりの「ころも」とがあいまって、うまいのよ。

花衣をまとって、お肉の美味しさが、来てくれましたぜ!!

きてもみよgourmet がうなり花衣 半可ξ
(きてもみよ ぐるめがうなり はなごろも)


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