囂kamabisuan庵

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6月1日

ほととぎす宿借る比の藤の花 芭蕉
(ほととぎす やどかるころの ふじのはな)

大和耳成山の麓の八木に宿を借る元禄元年四月十一日の句とか。

藤の花は春の季語で、ホトトギスは夏の季語だ。
旧暦二月三月四月が春で、五六七月が夏。

この句、二つ以上の季節にまたがる季語を複数使用の「季またがり」で現代俳句では叱られちゃう。

でも、芭蕉さんの時代には季節を感じられる「季感」とかが収まればいいじゃんみたいで、それほどでもないらしい。

そりゃそうだ。カレンダーピリッと剥がしてはい!今日から夏ですっうほうが不自然だわな。

さて、
本日藤を観に、手稲前田森林公園にいった際に、カッコウの声を聴いた。

カッコウの宿借る比の藤の花 半可ξ
(カッコウの やどかるころの ふじのはな)

もちろん余の宿借るは「托卵」でさ。

それに、手稲山の頂上雲で「テッペンカケタカ」がすこし残念だった。


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6月5日

水無月は腹病やみの暑さかな 芭蕉
(みなづきは ふくびょうやみの あつさかな)

おなじような

昼はなほ腹病煩の暑さかな 芭蕉
(ひるはなお ふくびょうぼんの あつさかな)

元禄四年だと。

この時芭蕉さん、ピロリ菌が悪さする持病の慢性胃炎で大変だったらしい。

旧暦の水無月はいまの7月8月の盛夏時期。

温暖化時代でなくとも気温は楽に30度を越えていただべし。

持病がまた出て腹は痛てえし、クソ暑ちい。あゝゝ水無月嫌い!

さて、さて、
昨日北海道が全国一番の暑さ。

腹は痛くないけど暑かった。

でも、日影は寒いくらいが当地のカラリ空気。

水無月は腹八分目の暑さかな 半可ξ
(みなづきは はらはちぶんめの あつさかな)


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6月8日

五月の雨岩檜葉の緑いつまでぞ 芭蕉
(さつきのあめ いわひばのみどり いつまでぞ)

延宝八年、芭蕉37歳の作と。
岩桧葉(いわひば)は岩松・巌苔だと。

梅雨の時期の苔はとくにきれいだ。

たしかに真夏のカンカン照りになれば苔も色を失うね。

だからどうした?って聞いてみたくなる句ですな。

さて、当地も朝からドン曇で先ほどからポツポツ。
おまけに、ドンひゃら。

今年もソーランよさこいは雨ん中。
それも景色と慌てない。慌てない。

6月の雨雷神と響み行く 半可ξ
(ろくがつの あめらいじんと どよみゆく)

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6月10日

山中十景 高瀬漁火

漁り火に鰍や浪の下むせび 芭蕉
(いさりびに かじかやなみの したむせび)

奥の細道、元禄二年七月二十七日より加賀山中温泉に逗留。

桃妖と名を与えた少年久米之助から山中温泉十景のひとつ「高瀬の漁火」の話を聞きとのこと。

この句の下には、少年と宗匠の間にはちょっと妖しい何かが有りそうだがそのへんは上品にパス。

さて、昨夜は久しぶりに雨。

石狩の大河は雪解の水もかさなって、いつものように濁っている。

八目鰻漁の川漁師が仕掛を上げていた。

川狩に八目や浪の下むせび 半可ξ
(かわがりに やつめやなみの したむせび)

余の場合は、何も咽び泣く理由がない。

ただ、未だ食したことのない八目鰻は旨いのかと思ったが、たぶん余が食したことがないということでだいたい味の評判はわかるなと考えた。

それを八目くんが残念がって咽び泣いたっう句だわな。


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6月20日

老の名のありとも知らで四十雀 芭蕉
(おいのなの ありともしらで しじゅうから)

この句は今年の2月散歩中に四十雀を見かけ、今日の芭蕉句ではすでにご出演戴いたものだが、昨日またまたお会いしたので再度の登場だす。

前回は、冬季オリンピックのスケートレーシングスーツデザインが四十雀に似ていて・・だったす。

今回は、新芽の時から「紅葉」といわれ、どこか四十雀と似た「野村紅葉」の定めに・・

その前に本歌芭蕉さんの句の気持ち。

名前だけ四十なんて喰らっているが、ほんとはわっかいー。だから!女の子追っかけては、世間に「四十のくせ年甲斐もなく」って笑われているが、本人本当は若いんだからおお迷惑だわな。

芭蕉さんはこの時五十歳。

吟会のお相手磐城平藩主内藤義概(風虎)の次男宝生佐太夫(露沾)はそろそろ四十歳。

で、じつは皮肉家の芭蕉さん、遊び人のボンボン二世のご乱行人生に「気持ちはわかるけど、そろそろ・・」と良い意味で婉曲的にご注進っうとこでしょうかな。とか思う。

で、で、余はそんな色事にいっさい興味もなく、たまたま四十雀をデジカメで追うが、精一杯の奥ピンの前ボケ一枚が撮れた!

北都の辰巳豊平のみどりの深き豊平公園にて、野村紅葉の「春の紅葉」を眺めていると、ツピィ・ツピィ・ツピィを懐かしき小鳥の声を聞いたずら。

見上げればあちらの枝に一羽。こちらに一羽。

ツピィ・ツピィ・ツピィ主のあんちゃん四十雀は、彼女を求めて必死にもう一羽を追っかけている。彼女は無闇に鳴かず、ウフフと微笑みスーッとかわす。

しかし、野村くんも「紅葉」な「新芽」とはなあ。

夏初め野村紅葉に四十雀 半可ξ
(なつはじめ のむらもみじに しじゅうから)

新芽から紅葉のむら紅葉かな 半可ξ
(しんめから こうようのむら もみじかな)


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6月21日

田や麦や中にも夏のほととぎす 芭蕉
(たやむぎや なかにもなつの ほととぎす)

元禄二年四月七日。『奥の細道』旅中、那須の黒羽桃雪亭での作。と。

西暦では、1689年5月25日ということで初夏っうことでやんしょ。

那須は青々とした稲と麦秋というところでしょうか。

ひと月遅れでも、余が棲する地にはまだ麦秋の気配はない。

水田の苗さんの生育もまだ子供だ。

日本広しである。

こんなに季節感に開きがあっても、本日は、日本全国どこでも平等に「夏至」。

あーあっ、明日から冬に向かって1日1日と日照が減っていく。

今年半分、まだ何にもやっていないのに・・である。

さて、オプシヌプリ=穴のある山と言う小山がある。


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三遊亭歌奴を思い浮かべる人はもういないと思うが、その、山のあなあな・・ではなくて、むかしアイヌの強者が弓を射って空けた穴がある山だそうだ。

それなれば、さほど珍しくはないが、なんと夏至の時期の数日間は夕陽がその穴を通過するっうので今ひそかに話題になっている。


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写真はWebからdanke!

むろん、山が見えればどこでも良いのではなく、夏至の日となればこことピンポイントにこの地点で!という情報が必要なのだが・・

余は嘗てより、古写真の撮影の時期の特定っうことで、太陽の通過規則の恒常性を利用して幾つかのシミュレーション検証している。

余の場合は三つの条件①場所と②影と③タイミングだが、穴の山情報には場所の特定が大雑把すぎてオイオイと心配している。

僭越ながら余のシミュレーションは

余のHPの
飽の浦のたぶん

とか
坂本龍馬写真の謎 三角の光り全7回シリーズ

これのシリーズとかだす。

空けと暮れ中を取り持つ六っの鐘 半可ξ
(あけとくれ なかをとりもつ むつのかね)

本日はお江戸では明けから暮れまでおおよそ15時間51分の間隔でお願いします。


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6月22日

殺生石

石の香や夏草赤く露暑し 芭蕉
(いしのかや なつくさあかく つゆあつし)

元禄二年四月十九日。『奥の細道』旅中、栃木県那須郡那須町湯元。と。

この句は同行の曾良日記にある。

殺生石は言わば箱根の大涌谷みたいなところ、溶岩原の地獄谷で、あれこれの特別な石ではない。

石の香は、硫化水素、亜硫酸ガスなどの有毒な火山性ガス。

せっかく命を得て生えた草もそいつにやられちまってる。

あついぜ・・ってか。

さて、本日の暦に、乃東枯(ないとうかるる)とある。

つまり、火山性のガスにやられなくとも、気の早い夏草は枯れ始めるのもある頃だちゅうことだと。

隣市にある酪農大学の牧草畑の一番草が刈られていた。

これも、枯れではなく刈られ、そして日干しされ、美味しいMilkになる。

でも、コンバインは殺生機とはいわれない。

一番草刈るコンバインの赤き音 半可ξ
(いちばんぐさ かるこんばいんの あかきおと)


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