しかし、あるときからこのアプリケーションに、相当のシミュレーション能力の実力があることに気付き、以来、イメージ上の復元や再現のために、余はことあるごとに使用してそれなりの満足と成果をあげている。
余の場合のシミュレーション検証は、主に古写真の中に写し撮られている時間や環境の検証である。
例えば、余のホームページでも取り上げたが、坂本龍馬写真の写場の構造、及び太陽との関係からおよその撮影時期時間などの検証や、場所不明の河岸の写真からそれが大阪の川口外国人居留地からのものと明らかにすることなどもできた。
そしてこの度、これらのチマチマ作業に続き、明治五年に撮られた長崎港一望のパノラマ写真から、恵美須神社・飽の浦集落・長崎造船所が含まれる地域のバーチャルジオラマ製作に挑戦し、ほぼ、完成に近づいた。
出来上がりの精度の高さは、そこそこと一様は謙遜しておくが、まことにまこと、自慢と自信の一件であると申し上げておく。
キャメラポジションの眼下の恵美須神社の神殿は当時も今も同じ場所ととりあえず大胆に決めさせて戴いてはじめる
この件についていつか確認にするとしても、正しい情報がいただければ老人大いに喜ぶこと間違いない。
つぎに、古写真に写る光景から、現在も地図上に残るものを探し、古写真と地図双方にマークをする。たとえば岬・島・目立つ建物。
古写真の正面、即ち画角のセンターを地図上にマークする。ついで、古写真に写っている左右の範囲を、地図上にマークをする。
マークされた地図上で、写っている範囲を分度器で測り、その角度を古写真の水平画角とする。
これでアバウトながら古写真の水平画角が判明する。
以下同様に残りの三枚の古写真のDataをマークする。
まず、テンプレート画面で地図を表示させた平面図のマークポイント(例えば岬の突端など)の上に、直系1メートル高さ100メートルの形状を置く。
こうして次々と「空舞台」に目安の杭を立てて、認識しにくい3D感覚をわかりやすくしていく。
それぞれの形状のマークが、古写真のテンプレートを表示した透視図で、ピッタリと重なっていれば大成功だ。
しかし、現実は大きくずれているだろう。
だから、調整に入る。画角は地図上で確認できているので、先ずはカメラ位置を前後左右高さを探り、センターと左右の関係を決め、次ぎに遠くの水平線を頼りに仰角の調整を行う。
俗に言うところの「パン」と「ティルト」。
そんなかんな、あれこれ、わんさかで、やっと、設定したレンズのカメラアングルを示す透視図に、古写真テンプレートのPointとの一致が得られるようになってくる。
「空舞台」が完成だ。 (つづく)