囂kamabisuan庵

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10月18日

きりぎりす忘れ音に啼く火燵哉 芭蕉
(きりぎりす わすれねになく こたつかな)

元禄三年冬。伊賀門弟氷固亭にての発句。

虫の声が虫の息に・・もう、冬でございますな。

さてさて、

現代では家の中でキリギリスが鳴くような風流な家などはなく、残念ながら、晩秋初冬の朝晩の寒さは、キリギリスやコオロギの音をBGにせずとも十二分に心細い。

昨夜から、ついに、根性なく手炙りストーブのお世話に。


さてさて、

歳時記カレンダー、今日の欄に、
「蟋蟀在戸」とある。


「蟋蟀在戸」は、「しつそつ こにあり」と読むそうな。

古来「蟋蟀」は、秋に鳴く虫の総称でキリギリスもコホロギもみな「しつそつ」だとか。

ちなみに、我がMacで、こおろぎで変換すると「蟋蟀」、きりぎりすで変換すると「螽斯」。

今朝、火野正平さん「蝉の声が虫の声に変わりました!」と。

季節の変わりを、火野さんらしく、自然の中の音で表現してくれました。

日本列島少しずつ冬に向かっています。

みなさま、ご自愛くださりませ。

さてさて、さて、

民主主義忘れ音に啼く秋選挙 半可ξ
(みんしゅしゅぎ わすれねになく あきせんきょ)


10月26日

山中に子供と遊ぶ

初雪に兎の皮の髭作れ 芭蕉
(はつゆきに うさぎのかわの ひげつくれ)

元禄二年冬。

よくよく読むと意味不明で、結局、感じたままに理解すれば良いという句の見本だとか。

さてさて、先週かな? 海抜1023メートルの手稲のお山に髭ができた。


今季のゲレンデオープン予定は11月20日。

まだまだ、赤信号だ。

市内の初雪もまだ先。

でも雪虫がワイチャか舞ってる今日この頃。

神様がみんな出雲に行っちゃって、やっこさんがたみんなで羽目を外しているんだわさ。

しろばんば数多沸き立つ神無月 半可ξ
(しろばんば あまたわきたつ かんなづき)

10月27日

庭興即事

作りなす庭をいさむる時雨かな 芭蕉
(つくりなす にわをいさめる しぐれかな)

元禄四年十月。

上方住いを終えて江戸に下る途中、美濃垂井の本龍寺住職にご挨拶で詠んだ句。だと。

「いさめる」は、お布施 がっぽり取っちゃってお庭造りかよと「(諌)いさ・める」のではなく、たいへん風情があって心安らぐ心地でですの「(慰)いさ・める」だって。

さてさて、

余は昨日久しぶりに、総走行距離約50kmのチャリ行を一年ぶりぐらいに行ったのだが、目的は、道立と市立の図書館に図書を返却することと、再現模造による正倉院宝物展を見ること、新そばを食うことと、秋の風情を街角に見つけることと、TAMIYAのギアボックスとクラフトペーパーと「みすゞ飴」を買うことなど、たいへん欲張った。

コロナ来襲以前ならほぼレギュラーな距離だが、足掛け2年のブランクは、こったらチャリ行でも正直堪えた。

救いは、ほぼ無風だったことだ。

さてさて、

道立近代美術館でやっていた「再現模造による正倉院宝物」展。



再現模造技術及び保存伝承はこの上ない重要かつたいへんリスペクトすることながら、「再現模造による正倉院宝物」との対面はちょっと味気ない不思議な心地だった。

というのは、

在京時代の若い頃の数年間、余は一泊か日帰りで、「正倉院展=曝涼」に通っていた。

ある年は、前夜酒席で盛り上がり、ぜひ行きたいという後輩を連れて、翌朝二日酔い運転で奈良国博に行ったこともある。半世紀も前の話だ。許されよ!

ともあれ、

当時の「正倉院展」は一般のオヤジオババたちにはほとんど注目されてはおらず、会期中いつ行っても、行列や入場制限もなくゆったりと「本物」を見ることができた。

つまり、

気に入った天平宝物の前で、好きな時間だけそれを見ていることができた。

今ではとてもありえない、とても貴重な体験だった。

かつて、薄暗い光の中で、目を凝らして見たものたちが、いやいやそのフィギャーたちが、今日は、極彩色の化粧姿でスポットライトに照らされている。

このギャップ、なんなんだろう。 見なければよかったかも。

そんなわけで、「ちょっと味気ない不思議な心地だった。」ということだ。

作りなす宝いさむる秋夕焼 半可ξ
(つくりなす たからいさむる あきゆやけ)

もちろん「いさむる」は、たいへん風情があって心安らぐ心地でですの「(慰)いさ・むる」。 ただし「作りなす技」は余が奈良博で見た正倉院の品の数々。

10月28日

大根引きといふ事を

鞍壺に小坊主乗るや大根引き 芭蕉
(くらつぼに こぼうずのるや だいこひき)

元禄六年十月。

鞍壺は、鞍の前輪(まえわ)と後輪(しずわ)との間の、人がまたがって乗る部分。だと。

これ、芭蕉秀句のうちの一つだとか。

  確かに、のんびりとして、微笑ましくて、動きがある句だが・・・

さてさて、さて、

先日、自転車で走った約50kmのコースを、東京の地図に重ねてみた。

仮に、今話題の上野動物園のパンダ舎をスタート地点とし、左回りでぐるり一周して見ると、

上野動物園スタート--> 本郷弥生町--> 大塚護国寺--> 目白--> 下落合--> 中野--> 方南町 --> 新宿--> 青山 --> 六本木--> 芝公園--> 芝浦埠頭--> 晴海--> 豊洲--> 木場--> 西大島--> 亀戸--> 浅草--> 上野到着に相当する。


東京で走れば、結構ボリュミーなチャリ行だが、北の都は高低差10数メートルでほとんど真っ平ら。

しかも、車道も歩道も十二分に広く、東京の山手のような谷坂もほぼないのでこのくらいはちょろいのだ。

所要時間は、9時4時で、7時間。

そのうち自転車を漕いでいた時間は2時間半から3時間弱だ。

この地図を見ると、東京って思っている以上に狭く、また、思っている以上に人々の生活空間の密集度が高く、反対に北の都は、思っている以上にゆったりとしているっうことに改めて気がついた。

どおりで、空が広く大きく感じられるわけだ。



北の国ペダル漕ぐ秋天高し 半可ξ
(きたのくに ペダルこぐあき てんたかし)


10月31日

行ってきます

囂kamabisuan庵